及川敦子建築設計室

work 作品

中心に設けた中庭によってプライバシーを守り、敷地境界線上の塀は最小限とした、解放的な佇まい。

東埼玉の家

     
所在地埼玉県北葛飾郡
建物用途専用住宅
延床面積175.85㎡
施工渡辺富工務店
竣工2016
    
撮影アトリエあふろ 鈴木暁彦
  ✳︎印のあるもの:及川敦子

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中庭を中心に、2階建てと平屋の二つの片流れ屋根のボリュームを、切妻の平屋が繋いだコの字型プラン。家族がお互いの存在を感じながらも適度な距離をとりつつ、それぞれの居場所で過ごすことができるようにと計画しました。

大人数で集う場所と一人になれる場所。明るく開放的な場所と明るさを抑え落ち着きのある場所。様々なスペースが中庭を中心にぐるりと繋がりながら展開します。美術館や画廊めぐりが好きで、以前から絵を集め折々の展示替えを楽しんでいた施主の希望は、生活の中で絵を楽しめる、そのまま小美術館ともなるような家。

各所に必要な収納スペースや、キッチンパントリー、雨の日に物干できるランドリー室も備え、気持ちよく家事をこなせるようにという点にも力を入れています。「舞台裏」を機能的に計画することで、「表」の空間もすっきり整えやすくなりました。

エアコンが苦手という施主の希望で放射式の冷暖房パネルを取り入れ、開口部ほか外皮(床壁天井)の断熱性能にも気を配っています(一次消費エネルギー量等級5相当)。あらわしの梁や柱は無垢の杉材、内装の床や壁天井にも、杉や桧、サワラといった無垢板を適所に使い自然素材の風合いを活かしていますが、木の分量が多くなり過ぎないよう抑えました。

近隣の人達や、たまたま前を通り掛かった人も「気持ちよさ」を感じる一角でありたい。一個の住宅に愛情を込めることは、活き活きとした風景を造る小さな、しかし着実な一歩になるものと信じ、年月が経過し自然な風景へと成熟する日を楽しみにしています。


お施主様の声

「うちが1番落ち着く…」
妻が良くつぶやく言葉です。
この一言から設計の素晴らしさがわかると思います。我々のこだわりポイントや希望を詳細まで聴いていただき、更に建築家としての感性(まさにプロといった感性をお持ちと思います)を加えて設計を進めてくださいました。
おかげで我々が考えていたもの以上の提案をしていただきました。
特に、「生活の場」という視点でまとめていただいたことで、家にいるだけで落ち着く、あるいは癒されるといった感覚を加えていただけたのかなと思っています。

また、施工監理の面でも大変心強かったです。
家を建てる側はほとんどが建築の素人であり、キチンと建つのかなという漠然とした不安があると思います。しかし、こまめに現場へ足を運んでいただき、図面通りに工事が進んでいるかの確認など丁寧に対応していただいたおかげで、安心して見守ることができました。
全身全霊で一生懸命やっていただいたことに本当に感謝しています。

元々は住宅メーカーに依頼して建築する予定でした。しかし、設計の自由度が低いことなどの理由から方針を大転換。 考えてもいなかった個人の建築家にお願いすることとなりました。
個人事務所に設計するというのは、なんとなく抵抗があったのですが、思った以上にメリットがありました。
自分の感覚にあった方を自分で選択できる点、
自分達が考えているプランが実現できる点(設計の自由度)、
そのプランにプロとしての感性を追加してもらえる点
第3者として監理業務を行ってもらえる点(住宅メーカーであると設計士がメーカー所属で本当の意味で第3者ではない)、
などなど。
結果として、大変満足のいく家が出来上がったと実感しています。
そして、一生大事にしたいと真に思える家を手に入れることができました。

掲載誌

コンフォルト2018年8月号No.163『特集:贅沢のある家』/ 建築資料研究社

建築知識2019年1月号『間取りのすごい新常識』/ エクスナレッジ
書籍『間取りのすごい新常識』/ エクスナレッジ

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